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「死ね」を効果的に伝える6の方法

「死ね」、と思うときが誰しもあるだろう。私はコンビニバイト時代、来るやつ全員死ねと思ってた。

 

だが、「死ね」と思うだけでは何も変わらない。「思い」は「行動」に移してこそ意味があるのだ。

 

え? 

そんなこと言ったら怒られる?

それは君のテクニックが足りないからだ。安心してほしい。これから君でも実践できる「死ね」の伝え方を教えよう。

 

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中指(https://ja.wikipedia.org/wiki/中指 より)

 

 

 

1.まずは相手に「ノー」と言わせる

ドア・イン・ザ・フェース」と呼ばれるセールス手法がある。

 

このテクニックは、まず常識はずれな要求をして、相手に断られることから始まる。それから、はるかに常識的な要求を行うことで、二度目の要求が通りやすくなるというものだ。

 

 

HUNTER×HUNTERでジンフリークスがやってたヤツである。

 

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ジンフリークス(HUNTER×HUNTER 30巻より)

 

未読の人に説明すると、上は選挙のルールを決める場面だ。

ここではジンが『⑤選挙の最高責任者をジン・フリークスにする』という無茶を掲げて、『④投票者は名前を書く』というルールを通した。

 

 

 

社会心理学者のロバート・チャルディーニらが行ったこんな研究がある。

 

 

まず、被験者に非行少年の指導員になってくれないかと頼む。指導員になるには二年間、毎週二時間を費やさなければならない。

当然、被験者は全員断った。

次に被験者に、非行少年たちを一日だけ動物園に連れて行ってくれないか、と頼む。

 

 

さて、何%が「YES」と答えたか?

 

まず、最初のリクエスト(指導員になること)を尋ねず、二番目のリクエスト(動物園に連れていくこと)のみを尋ねたられた被験者たちを見てみよう。彼らのうち、17%が動物園に連れていくことを了承した。

 

では、最初に指導員になることを尋ねられ、それを断ったのち、動物園に連れていくことを尋ねたられた被験者たちはどうか。彼らの50%が動物園への引率に同意したのだ。

 

 

 

つまり、最初に「指導員になる」という無茶なリクエストを吹っ掛けることにより、単純計算で約3倍もリクエストが通りやすくなったのだ。

 

 

実践例:

「部長の一族郎党根、絶やしにしてもいいですか?」

「ダメに決まってるだろ」

「じゃあお前だけ死ね」

 

 

 

2.先んじて贈り物をしておく

賄賂はいつの時代も有効だ。「死ね」と伝えるときにも事前に贈り物をしておくといいだろう。

 

小さな贈り物や親切でも、相手にとっては借りができたような気になり、お返しをしたくなる。借りができた状態は居心地の悪いものであり、それを解消したくなるのだ。この感覚は普遍的で根深い。これを「返報性の原理」と呼ぶ。

 

死んでほしい相手に優しくする。矛盾しているようだが、重要なテクニックとなるだろう。

 

ただし、注意してほしいことが一つある。返報性は、誰かに良いことをされた時に生じる「感謝の気持ち」と「借りの気持ち」という二つの心理に影響される。そして、「借りの気持ち」はそれなりに継続するが、「感謝の気持ち」は30分しか継続しないといわれている。贈り物をしたあと、できるだけ早く「死ね」と伝えるようにしよう

 

 

実践例:

「部長はきょう誕生日でしたよね。これ、地元の酒です」

「覚えていてくれたのか!ありがたく頂くよ」

「死ね」

 

 

 

3.相手を死に慣れさせる

あなたが好きになるのはどんな人だろうか?白馬の王子様か?交差点でぶつかった少女か?

 

 

答えは「身近なひと」だ。たいていの人は自分と同じ学校、職場などよく顔を合わせる人を好きになる。人はあるものに触れる機会が多いほど、それに好意的な印象を受ける。「ビビッドアーミー」をやっている人間は胸に手を当ててみてほしい。

 

これは「単純接触効果」と呼ばれ、よくわからん恋愛本で見たことがある人も多いだろう。

 

 

つまり、相手に「死ね」と伝えるならば、できるだけ相手に「死」を普段から意識させることが有効だろう。以下に例を示すので参考にしてほしい。

 

 

実践例:

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」

「なんだ君、先週から。失礼だぞ」

「死ね」

 

 

4.相手のご機嫌をとる

これは『3.相手を死に慣れさせる』と表裏一体である。

 

昼間、上司にこっぴどく叱られて落ち込んでいるとする。とぼとぼ歩いて帰りながら、スーパーに寄りシリアルを買わなければならないことを思い出した。

シリアルの棚には、いつも買っている商品と新商品が置いてある。どちらが買うか?

 

こういうときにはいつも買っている商品に手が伸びやすいという研究結果がある。

悲しみや不安を感じているときには変化を忌避し、馴染みのあるものを選択する傾向にある

 

 

逆に、これまでとは違ったものを選択しやすいのはどんなときか、もうおわかりだろう。幸せな気分のときに、馴染みの有無にこだわらず新たなものへ手を伸ばすのだ。

 

『死』は多くの人にとって未経験だ。『死』へいざなうのならば、相手をハッピーな気持ちにしておくべきだろう。

 

 

実践例:

「部長、今日のネクタイ似合ってますね」

「お、わかるかい?妻からもらったんだよ。ちょっと派手かなと思ったんだがどうかな?」

「死ね」

 

 

5.ストーリーの力を借りる

これは私の「ほしいものリスト」です。寄付してください。

 

 

 

買った?買ってないよね?なんで??

 

 

あなたは(おそらく)私のほしいものリストを買ってくれていない。

「見ず知らずの他人に金使うわけないだろ」

そんな声が聞こえてくる。

 

ここで私が悪かったのは何の前置きもなく頼んだからだ。頼みごとをするときには助走をつけなくてはならない。すなわちストーリーをつけるのだ。

 

「私は老いた母の面倒をみながら、夜遅くまで働いている。しかし、無理がたたって体を壊してしまった。ああ! 私のほしいものリストを置いておくから、助けてはくれないだろうか!

https://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/3P89HZREUCB2J?ref_=wl_share

 

 

どうだろう?

陳腐なストーリーだがすこし心が動かされないだろうか。

 

何かを伝えたいとき、ストーリーが最良の情報伝達手段だ。

 

ストーリーの力を示すのに、ロンドン大学の神経研究所のタニア・シンガーが行った研究がある。

 

 

まず、被験者が痛みを感じているときに脳のどの部分が活性化しているかを調べた。その結果、「痛みの程度」と「痛みの発生個所」を処理している部分がいくつかあることが分かった。これとは別に、痛みによって生じる「つらさ」や「不快感」といった、感情面での情報を処理している部分があることもわかった。

 

次に、登場人物が痛みを感じるような物語を被験者に読んでもらう。すると、「痛みの程度」と「痛みの発生個所」を処理している部分は活性化しなかったが、痛みに関する「つらさ」や「不快感」を処理している部分は活性化した。

 

つまり人間は、痛みに関するストーリーを聞くと、ストーリーの中の痛みをまるで自分が感じたかのように体感できるのだ。同様に、他者の喜びや悲しみ、戸惑い様々な感情も、少なくとも一部は文字通り「体験」するのだ。

 

 

ストーリーの力は強力だ。この力を使わない手はないだろう。

 

具体的にはどうするか。相手に「いっちょ死んでみるか!」と思わせるストーリーを刷り込む必要がある。もっと言えば、「自分は死ぬべき人間だ!」と相手に思わせれば完璧だろう。

 

 

 

 

実践例:

「昨日試しに死んでみたんですけど、すごく楽しかったですよ」

「なに寝ぼけたこと言ってるんだ」

「死ね」 

 

 

 

 

6.あきらめずに何度も頼む

誰かに頼みごとをされたときのことを思い出してほしい。

了承したにせよ断ったにせよ、大きなプレッシャーを感じたはずだ。

 

さらに、その頼みを断るとすればどうだろうか。ある程度の良識がある人ならば、断るときには「助けてあげることができなかった」という罪悪感を感じるだろう。

 

 

それでは、一度ある頼みごとを断られた相手に、もう一度頼みごとしてみよう。その成功確率はどうなるだろうか。

 

 

答えは、「成功確率が上がる」だ。

相手がこちらの頼みに「イエス」と答えてくれる割合は、一度目よりも二度目のほうが高くなるのだ。

 

 一度目の頼みを断ったことによって罪悪感を覚えたことで、二度続けてそんな気持ちを味わいたくないと考えるのだ。

 

 

 

一度の失敗であきらめてしまうのはもったいない。もう一度チャレンジしてみてからでも、あきらめるのは遅くないだろう。

 

実践例:

「くたばれ」

「そんなこと上司に言っていいと思ってるのか!」

「死ね」

 

 

 

 

 

以上が「死ね」を効果的に伝える6つの方法だ。

ここまで説明してきたが、まだ最後の覚悟が決まらない人もいるかもしれない。

 

 

 

人に頼みごとをするのは気が重いだろう。その気持ちはとてもよくわかる。死んでほしい奴に「死ね」と言っても、死んでくれないのではないか?そんな不安な方に嬉しい知らせだ。

 

コーネル大学によるこんな研究がある。

14000人以上の見知らぬ人にさまざまな頼みごとをした複数の研究を分析すると、人は頼みごとの成功率を平均で48%も低く見積もることが分かった。

 

私たちが思っている2倍は、頼みごとが成功する確率が高いのだ。

 

 

 

さあ、以上が「死ね」を効果的に伝える6の方法だ。むろん上手くいく保証はない。しかしこれらのテクニックを使うことで、あなたの「死ね」はもっとずっと魅力的になっているだろう。

 

 

参考文献

参考にした本たち

 

 

 

 

 

 

武器としての交渉思考 (星海社 e-SHINSHO)

武器としての交渉思考 (星海社 e-SHINSHO)

 

 終わりに

本記事に掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。また、本記事は他者への暴言、中傷、自殺教唆等を推奨するものではありません。

 

念のため